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[会員体験談] K.Kさん

私の長男は1歳9ヵ月の時、けいれん重積発作をおこし急性脳症で1ヶ月入院しました。退院したものの、大好きだった絵本を破ったり、友達の顔を叩いたりするなど、おとなしかった性格が一変してしまいました。2歳5ヶ月の時、気管支炎で退院した直後から、よだれが出たり、ろれつが回らなくなりました。さらに、足をひきずりながら歩くようになり、手足の関節の動きもおかしくなりました。通院していた病院でMRI画像を撮影してもらったところ、すぐに入院が必要とのことで翌日に入院になりました。病名を調べるための検査をしてもらい、2週間後に副腎白質ジストロフィーであることを主治医から知らされました。治療法について、複数のセカンドオピニオンを聞いている期間に、長男は誤嚥性肺炎を患い、嚥下困難、発語消失の症状も出て、寝たきりになってしまいました。

病名告知から1ヶ月に臍帯血移植を受けました。臍帯血移植の前処置やGVHDによる神経症状の進行はありませんでしたが、生着不全という残念な結果になってしまいました。2度目の移植を受けるか、移植を受けずに対処療法で過ごしていくか、どちらを選ぶか迷いましたが、長男の神経症状や体力をふまえ、再度、チャレンジすることを決めました。
ドナーが確定するまでに4ヶ月を要しましたが、今度は、骨髄移植を受けることになりました(病名告知から11ヶ月後、臍帯血移植から10ヶ月後)。長男の体力を考えると、3度目の移植は考えられませんでした。骨髄移植当日、長男の腕にドナーの骨髄液が点滴注射のように注入されている3時間ぐらいの間、私は、長男をずっと抱きながら「今回は、何とか無事に生着してくれ。」と、何度も何度も祈りました。前回の臍帯血移植の時よりもGVHDの症状が強く、高熱や顔の腫れなど様々な症状が続きました。1ヶ月半経った頃に、「今回は大丈夫です」との言葉が医師から告げられました。しかし、晩期拒絶の可能性も説明されたので、不安を抱えたままの退院になりました。

退院後は自宅療養をしていましたが、3~4ヶ月ごとに体調を崩して入院することが続きました。免疫機能が戻るまでは、遠くに外出することも控えるしかなく、訪問看護や訪問リハビリを受ける日々を送りました。また、発病する前にはなかった副腎機能低下の症状があらわれ、体調を崩すと血糖値が50を下回ることも多くなり、緊急で通院や入院をするようになりました。さらに、骨髄移植から3年経過した頃から、てんかん発作や脳波異常の症状があらわれるようになりました。他のALDの患者さんにも言えることかもしれませんが、薬の種類が増えていき、嚥下困難の長男にとっては、服用するのが大変になっていきました。その他では、筋緊張が強いことが原因で股関節亜脱臼になり、股関節周囲筋解離術の手術も受けました。現在は、月に一度、○総合医療センターに通院しています。また、2度目の骨髄移植前、私から○大学付属病院のS先生に「長男を診てほしい」とお願いしたこともあり、年に一度、○大学付属病院でも各種検査をしてもらうようになっています。
このような症状を抱えながらも、学習やリハビリに取り組む長男の姿を見ていると、なぜ、もっと早く様子の変化に気付いて、診察を受けさせることができなかったのか、早く受けさせていたら、ここまで症状が進行することはなかったのではないか、もっと元気な状態で毎日を送れたのではないかと思うと、本当に申し訳ない気持ちになります。親として、できる限りの治療やリハビリ、医療的ケアを受けさせて、発症前の元気だった頃の姿に戻してあげられるように、精一杯、尽力していきたいと思っています。
私が、NPO法人ALDの未来を考える会(当時はALD親の会)に入会したのは、骨髄移植を受けた1年後でした。名古屋で行われた第2回ALD親の会主催夏の勉強会に、初めて参加しました。30名くらい参加されていて、子供の患者さんや親御さん、成人の患者さんなど、さまざまな年齢の方々が医師の講演を熱心に聞かれていました。懇親会にも参加しましたが、参加者の間で病状や医療的ケアなどの情報交換が活発に行われていて、長男に参考になる多くの情報を知ることができました。それ以降も、ALD親の会主催の勉強会には参加していますが、毎年、講演のテーマが異なり、参加する度にALDに関する新たな情報を知ることができています。自分の力だけでは、希少難病であるALDに関する情報を入手することは困難ですので、とても助かっています。

また、NPO法人ALDの未来を考える会の事業として、電話相談業務が設けられていて、看護やリハビリなどの日常的な医療的ケアについて、疑問に思うことがあれば、相談できるようになっています。医療については主治医に聞くことができますが、日常生活で困っていることや些細なことについては、聞きづらかったり、聞けなかったりすることもあります。 そのようなことでも、これからは、電話相談を利用して解決していきたいと考えています。小児大脳型の患者さんだけでなく、成人型の患者さんも入会される方が増えていると聞いていますので、NPO法人ALDの未来を考える会を通じて、会員の方々と交流を深め、よりよいQOLが実現できるように共に取り組んでいきたいと思っています。

『※原文のまま記載しています』

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